睡眠導入剤は「頼る」ではなく「利用」する

睡眠薬と言うと、過去に犯罪に悪用されたことで、世間では恐ろしいイメージがついています。ですが、この睡眠薬、頑固な睡眠障害を克服する上で必要なものです。生活習慣で治る人は不要ですが、それだけではどうにもならないほど睡眠障害が深刻になっている時は、非常に便利なアイテムです。

睡眠薬は、処方される時には睡眠導入剤と書かれていることがあります。「寝つきを良くするお薬です」と書いてあったら睡眠導入剤です。これは医師や薬剤師から説明を受けますし、お薬手帳を持っている人は説明書が毎回添付されますので、何の薬か分からないということはありません。ちなみに、お薬手帳は無料で作れますので、薬剤管理のためにも作っておいて損はありません。

私は以前、家族から「そんな薬に頼って恥ずかしくないのか」と言われたことがあります。しかし、風邪の時、薬を飲まない人はいるでしょうか?市販薬か処方薬かの違いはありますが、早く治そうと、薬を飲みますよね。睡眠障害もそれと同じで、早く治すために飲むのです。

「頼る」というのは間違いで、1日も早く治すために「利用」しているのです。睡眠障害で薬を飲んでいる本人でも、「こんな薬を飲まなければ眠れないなんて…」と思い悩むこともあるでしょう。それは違います。治すために薬を一時的に利用しているのです。「薬がなければ眠れない」という考えと「薬を利用して眠るリズムを作っている」と考えでは、随分意味合いが変わってきますよね。

薬というのは本来、自己治癒力を高めたり、症状を抑えることで身体を休めるものです。風邪薬は風邪の諸症状に効きますが、風邪の原因ウイルスを退治するのは自己免疫力です。睡眠導入剤にも同じことが言えます。眠れないという症状を抑え、身体を休め、自己治癒力が回復することによって、睡眠障害を徐々に治していくのです。